パートさんの資格手当は割増賃金に含める?

こんにちは。

社労士の福井です。

 

時給制のパート社員に月額2,500円などで定額支給されている役職手当や資格手当などがありませんか?

時給制パート社員の月額定額制手当ては残業代の計算時に気をつける事があります。法定時間内残業と法定時間外残業では計算方法が変わるためです。法定時間内残業は時給に残業時間を掛けるだけで良いですが、法定時間外残業では定額の手当を一か月の所定労働時間で割って算出した単価に割増率を掛けて出した手当残業代と時給から算出した時給分残業代を合算する必要があります。細かく見てみましょう。

まずは法定時間内残業と法定時間外残業の違いから(図は厚生労働省「しっかりマスター。労働基準法割増賃金編」より。またここ以降の図も全て参照しました)。

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法定時間内残業とは、図の17時00分から18時00分までの1時間のことで、法定労働時間である1日8時間週40時間の枠内に収まっているため割増賃金の支払いは必要がありません。法定時間外残業とは図の18時00分から22時00分までの4時間のことで、この図の場合1日8時間を超えるので、割増賃金の対象となります。法定外の割増賃金には以下の3種があります。

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割増賃金は割増単価×残業時間で算出しますが、割増単価計算から除外しても良い手当が以下の通り限定列挙されており、ここに含まれない手当は全て含めて計算しなければなりません。

以上より、時給制のパート社員が法定時間外に労働し割増賃金を支払う場合には、月額の手当から算出した割増時給と基本割増時給とを合算し、残業代や深夜割増を算出して支払うことになります。

これが非常にめんどくさい。給与ソフトでできる場合でも、別で計算した割増賃金を合算して表示するかバラバラに表示するかなど設定を最初の段階で行う必要があります。

解決する方法は2つ。「月額の手当を時給の手当に改定して時給に上乗せする」か「割増賃金の計算が必要となる時間外労働、休日労働、深夜労働を命じない」です。時給に手当時給を載せるには対象の方の就労日数がバラバラだと資格手当もバラバラになるなどの問題が生じます。悩ましい問題ですが、月額で今まで通りということであれば割増計算はしっかりと正しい方法で行いましょう。

 

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