老齢年金の繰下げ受給開始が75歳まで引き上げられるとさ

こんにちは。

社会保険労務士の福井です。

 

来月4月1日から年金の繰り下げは現行「70歳まで」から「75歳まで」に変更されます。

原則の年金支給開始年齢は65歳ですので、5年の繰り下げから10年の繰り下げが選択できるようになります。

 

では、どれくらい増えるか?

増加率は変わっていないので1月繰り下げると年金が0.7%増加。5年の増加で0.7%×12ヶ月×5年だと42%増加。10年だとその倍の…

 

84%増加!

 

数学だけ見るとスゲーな。

ま、その代わり75歳まで年金1円ももらってないから当たり前か。

 

では、

「何歳で元が取れるか?」

 

これは直線グラフで良いので作ってみました(パートさんに作ってもらったのは内緒)。厚生労働省の平成29年の「平成29年老齢年金受給者実態調査」によると年金月額の65歳~69歳男性ボリュームゾーンが15万~20万なので下限の15万で作成。

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グラフによると、75歳まで支給年齢を引き上げた場合は86歳でようやく元が取れる。改定前上限の70歳まで引き上げた場合は81歳で元が取れる。厚生労働省「令和2年簡易生命表の概況」では令和2年の平均寿命は、男性81.64歳女性87.74歳

こうやって数字を出してみると繰り下げ年齢は性別差を勘案する方がよさそうです。男性は平均寿命を考えると70歳の繰り下げが上限、女性は75歳まで繰り下げても平均的には満額もらえる感じ。

夫婦であれば別々に考えることもできます。夫の年金だけ先に受給し、妻の年金は送らせるなど。繰り下げは1年単位で繰り下げることができますので無理に繰り下げをせず、他の収入と合わせて検討するのが良いですね。

自分が何歳まで、夫婦がそれぞれ何歳まで生きるのか。その間に何がしたいのか。どう生きたいのか。今のうちから想像してライフプランニングしていくことがいずれにしても重要。年金を繰り下げたいのであれば、その年齢まで就労継続できる職業能力も必要。自分の会社の定年と再雇用の制度を勘案して年金と組み合わせ、収入の隙間ができないようにしましょう。

また、令和7年(女性は令和12年)には段階的に引き上げられてきた老齢年金の報酬比例部分の支給が終了し年金の支給年齢は原則として65歳となります。その前準備で来月から、60歳から64歳までの在職老齢年金も合わせて改定され、今まで月給と年金月額の合計額が28万円を超えると半分支給停止されていたものが、47万円まで引き上げられます。この改定により60歳定年後、年金が止まるから働き方をセーブしていた方も気兼ねなく働けるようになりますので、その間に蓄えを増やしたり、次のステージへの職業能力の獲得をしたりして定年後の準備を進めましょう。

 

やはりキーワードは「人生100年時代」。今までの常識とは違うことを認識し、その先を見据えて今を生きていこう!

 

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