コロナウィルス感染者が出た場合の会社手順を確認しましょう。

こんにちは。

社会保険労務士の福井です。

 

今回は真面目に(?)仕事の話で。

いつも自転車を真面目にやっているだけですが・・・

 

さて、ニュースを見ていると接触経路不明者の感染が増加していると報じられています。今まで対岸の火事に感じていたコロナウィルスの感染者が家族や近親者に発生することが出てくるのではないかと予想されます。

 

そこで今回は、従業員がコロナウィルスに感染した、近親者が濃厚接触者になった場合等に慌てないように対応策を改めて考えてみたいと思います。

 

①感染の疑いがある場合は相談する。

37.5℃以上の発熱や味覚異常がある場合は、帰国者・接触者相談センターやかかりつけ医、地域の相談窓口等にあらかじめ電話でご相談します。その結果、感染が疑われると判断された場合には、帰国者・接触者外来等を紹介されるので、そこでコロナウイルスの検査を受けることになります。下は厚生労働省の資料です。各市町村でもコロナウィルス感染症の問合せ受付などを準備していたりするので確認しておくと良いです。

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感染者であることが判明した場合には、保健所に報告され、同時に各家庭の消毒や事業所の消毒が指示されます。

 

②感染者が発生した場合の会社の対応について

以下の図をご参照下さい。杜若法律事務所様の【改訂版】新型コロナウイルス感染症に関する労働問題QA(Ver.3)からお借りしました。

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1.従業員が感染し労務提供ができない

コロナウィルス感染症は、感染症法の指定感染症のため、感染により就業を制限されて働けない場合は労働災害(同僚が感染し仕事中の接触により感染したなど)に該当しなければ、労働者事由による休業となり賃金の支払いは不要です。その場合は3日の連続した待機を完成させれば健康保険の傷病手当金(標準報酬の2/3)を労働者が申請できます。しかし多くの場合に労働者が有給休暇を持っていることがあり、本人が有給を使用したいと申し出た場合は認める取扱いでも良いと思います。

 

2.発熱などの風邪の症状はあるが就労はできる

一番難しい判断を求められるパターンかと思います。通常では多少の熱があっても働いていることが多いですが、今回は会社に来ることを禁止されるのは理不尽なところもあります。しかし、ここまで感染拡大が社会問題になっている中で37.5℃以上の発熱があった場合は、出勤させないという業務判断はお互いにやむを得ないと納得しやすいと思います。

そこで問題となるのが休業手当を支払う必要があるかどうかです。結論から申しますと、疑いの場合でも、濃厚接触者である場合は休業手当の支払いは必要なく、そうでない場合は支払う必要があります。熱が出ていても感染の疑いが濃厚でなければ労務提供受取拒否はなかなか難しいです。在宅勤務ができる業務は在宅勤務へ切替える(この場合は普通に給与を支払う)、在宅勤務ができない業務は念のため会社が出勤停止を命じれば休業手当の支払いが必要です。ただし、医療機関PCR検査の結果陽性になった時はその時から休業手当支払義務はなくなります。ただしこちらの場合も労働者が有給休暇を持っていることがあり、本人が有給を使用したいと申し出た場合は認める取扱いでも良いと思います。

会社が必要以上に休業続ける場合(内容が業績不振などよるなど)は前述の図で賃金10割とありますが、実際はコロナウィルス感染症と関係なく会社の判断で休業する場合は民法上10割を支給しなければならないこともあるので注意が必要です。

 

3.会社の消毒などは自社にて対応する必要がある。

保健所の指示がありますが、実際の作業は自社にて行うか、専門業者に依頼するか(費用は会社持ち)となります。

 

4.取引先を含めてどこまで知らせるか検討する。

個人の機微情報となるため、原則従業員名を伏せるものとしたうえで取引先等に連絡することに該当の労働者から同意を得ておきましょう。信用を失ってからでは取返すことはできませんので取引先には丁寧に説明できる資料を作成しましょう。

 

以上になります。

 

実際に起こることを想定して社内の準備を進めておきましょう。

 

 東京都羽村市社会保険労務士やってます♪

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